TWICEの劣等生、NiziUの優等生

 またもやNiziUの、と言うかリクちゃんの話である。しかも私は言うほどTWICEを知らないので、ここから先に書いてあることは適当である。事実と異なっていても、あ、違うなと思うに留めておいてほしい。

 「Make You Happy」のMVが公開された時、海外勢のリアクト動画を見るのが好きだった。結構色々な人の動画を見たが、サビになってリクが歌いながら階段を降りてきたときに、「サナみたい!」と言う人が少なくなかった。

 ここでいうサナは、韓国の国民的アイドルグループ、TWICEのサナちゃんである。日本人でありながら韓国で活躍する彼女は、「セクシーキューティー」ともあだ名される人気メンバーだ。明るく、愛嬌があり、笑顔が抜群に可愛い。メンバー人気も一位二位を争う、TWICEきってのスターだ。リクをみてサナを思い出す、と言う人がいるのを見て、なるほどなと思った。2人は印象が似ている。

 どちらもほっそりしたスタイル、少女らしいはつらつとした雰囲気、美人というより可愛らしい顔立ち(サナちゃんはお姉さんになって顔の肉が落ちて美人になったが)で、男性人気が高いところが似ている。クラスの可愛い子、彼女にしたい子路線。

 サナはオーディション番組のSixteenの中で、それなりに安定して勝ち抜いた印象があるが、初期のMVの中ではポンコツな女の子というキャラ付けをされがちだった。例えばデビュー曲の「Like Ohh-Ahh」の中では、同じ日本人メンバーのミナとモモがクールにポーズを決める一方、サナは体が硬くて足が上がらずポーズを取れない、というシーンがある。JYPが意図的に「サナはちょっとできない子」として演出しているのが見て取れる。そしてそれは、サナの親しみやすさ、愛くるしさをさらに増強するおいしいシークエンスでもあった。その後の「Cheer Up」という曲の中でも、メンバーがそれぞれクラシカルドレスや豪華な韓服の扮装をしている中、サナは魔法少女のような衣装に身を包み、ピンクの砂糖菓子じみたセットの中でステッキを振り回していて、1人だけトーンが異なっていた。

 TWICEはデビュー曲から、「私が可愛すぎるから、みんな毎日大変」「どこを歩いてもレッドカーペットなの」と自分に自信がある女の子の恋の物語を歌っている。そのせいもあってか、みんな明るくエネルギッシュである反面、どこかクールで優等生的な印象もある。そこにポンコツキャラのサナがいることが、そうしたクールなトーンの中の隙に繋がり、自然と彼女や彼女たちを応援したい気持ちになる。なので、サナの人気が高いのは、自然の摂理だ。

 一方のリクとNiziUはどうか。リクはほぼ素人ながら、オーディション番組では第二位でデビューを勝ち取った逸材だ。美人顔のメンバーが多い中で、愛嬌たっぷりの可愛らしい顔立ちをしたリクは、ビジュアルの時点で親しみやすさや隙を演出している。ぱっと見の印象がサナに似ているのは、そのせいだろう。

 NiziUはプレデビュー曲の「Make You Happy」をはじめ、基本的にラブソングは歌わない。聞いている人を元気付けるような、いわゆる応援歌になる曲ばかりだ。強いて言うならプレデビューミニアルバムの中にある「虹の向こう」と「Boom Boom Boom」が若干ラブソングっぽいかな?という感じだが、基本的には清楚な、誰にでも当てはまる感じのメッセージソングを歌う。そういうグループなので、メンバーもみんな楚々としていて優等生的だ。笑顔が崩れない感じ。そんな中、愛嬌がありそうなリクには、サナよろしくポンコツっぷりを発揮してもらって風穴を開けて欲しかったのだが、まあリクちゃん優等生。正直9人の中で一番隙がないかもしれん。

 リクの実力からして、ポンコツキャラだったとしてもキャラ付けでしかないのですが、しかしながらリクは他の女の子たちと同じように、優等生的に振る舞っています。そのせいもあって、MVなどでリクはそこまで目を引きません。可愛いは可愛いんだけど、フック力が弱い。美人で有名なアヤカやインパクト抜群の容姿のニナやリマと同じような振る舞いをすると、単純に薄味に見えます。逆に最年長の1人ながら童顔で声もクセがあるリオの方が、なんとなく親しみやすい雰囲気を醸しています。あとは顔立ちの薄いマユカ。ただ、リオもマユカも顔立ちが美人顔なので、そうじゃないんだよなー感が強い。やはりポンコツはリクであるべき。

 リクに求めていたのは、サナよろしく親しみやすい、どこにでもいそうな女の子っぽさなのだが、当のリクは楚楚としているため、正直見ていて面白くない。次の曲では、ぜひにツッコミどころのある、生っぽいリクちゃんが見たいところだ。デビュー時には、そのうちリクは人気一位になると思ってたので、言うほど跳ねない現状がもどかしい。